(アレルギーの症例:4)怖い病気?難治性のジンマシンでした。
■犬:ミニチュアシュナウザー 初診時8歳2か月 メス
■病 歴:2週前にノミ予防薬の投薬後から股に発疹ができた。抗菌抗カビシャンプーをした。
治らないので別の病院に行ったが、抗生物質や抗ヒスタミン薬をしても少し良くなる位。
夜が酷い?本人は至って元気にしている。
■初診時:頂いた一番悪い時の写真は全身性でかなり酷かったご様子です。
今でも夜にはそんな感じらしいですが、今は基本的には腹部中心に大きな膨疹がある感じです。
それでも内服が効いているとは思えない位の酷さです。
ただ、最初の病院さんは「何故その治療?」って感じも若干有るのですが(病期が有るので一概には言えませんが・・・)、二番目の病院は標準治療をして下さったと言えるでしょう。ただ、単なるジンマシンみたいなのに、抗ヒスタミンを投薬しても根本的には改善していない様子です。もちろん犬には抗ヒスタミン薬が人間みたいに効かないのですが、軽いジンマシンならもう少し引いても良さそうです。
考えられるのは主に次の2つです。
(1)ジンマシンの程度が酷く、原因になる事柄も排除できていない
(2)全く別の自己免疫性等の怖い病気等が有る
この子の場合はノミダニ予防薬の投与後ですので、薬疹の可能性も有りますし、ミニチュアシュナウザーと言う犬種には「無菌性膿疱性紅皮症」と言う死に至る恐ろしい病気も有ります。ただ、怖い病気であれば炎症の時に上昇する検査数値のCRPが著増したり、グッタリしたり、皮膚以外の症状を併発したり・・・が有っても良いかとも思いますので、どちらかと言うと(1)が怪しいでしょう。そこで次の提案をしました。
「いきなりステロイドを多く使って、しっかりと症状を抑える事はジンマシンでも悪すぎる場合は正当化されると思いますので、しても良いでしょう。恐らく治ると思います。」
「ただし、違う病気の場合に原因が分から無くなる恐れが有りますので今すぐ皮膚生検をしても良いでしょう。」
必須の場合はすぐにしますが、この場合は生検をするか?の選択を相談しました。
生検をした部分にホッチキスが有ります。
結果、生検をして1週程度で結果が来るのを待たずに今日からステロイドを開始する事になりました。
余りに酷いジンマシンではすぐに強力なステロイド療法を開始する事が必要です。この子も胃腸や肝臓に気を付けつつステロイドの投薬を開始しました。同時に状況から疑う原因を色々と除去して貰いました。
ガーゼは生検した所のカバーです。
たった1日でスッカリ引いてくれました!怖い自己免疫性の病気かも知れませんので、病理の結果が分かるまで念の為にステロイドの量は比較的高用量で維持しました。もちろん副作用には気を付けて、です。
病理検査の結果は「リンパ管拡張と血管の充血を伴う急性多発性皮膚浮腫(蕁麻疹)」でした。
根本原因は分かりませんでしたが、原因も除去できたのか再発も無く1か月位でステロイドを終了できました!ご飯もアレルギー対応のアミノ酸食にして頂きましたが、これも1種類ずつ食材を試して原因を探りつつ元に戻す必要が有りますが、無事に回復して良かったです!