(その他の症例:6)恐らく特発性脂漏症(角化異常)と思われる難治性のワンちゃん
■ラブラドール 初診年齢9歳3か月 メス
■病歴:7歳から腰に病変(フケや膿皮)、どんどん悪化して色々なシャンプー・薬で治らない。
この子は少し遠い病院からご紹介して頂きました。難治症例に関しては無闇に抱え込まないで適切に素直に紹介できる病院さんは逆に良い病院だと思います。僕も気を付けて、眼科や神経等の自分が良く分からない分野は早々に信頼できる病院にご紹介させて頂いています。
ただ、この子は・・・「うわ~治してあげれるだろうか・・・?」と正直不安に思いました(苦笑)。
来院時は顔から耳から肘から踵から体幹から・・・すべてに脱毛を伴う肥厚(分厚くなった)慢性病変がありました。痒みは中程度以上ですが、皮膚はそれ以上に悪いと思えました。元々は綺麗なチョコ色だっただろう毛も退色して白っぽく、質感もバサバサで不良です。
■病歴:7歳から腰に病変(フケや膿皮)、どんどん悪化して色々なシャンプー・薬で治らない。
この子は少し遠い病院からご紹介して頂きました。難治症例に関しては無闇に抱え込まないで適切に素直に紹介できる病院さんは逆に良い病院だと思います。僕も気を付けて、眼科や神経等の自分が良く分からない分野は早々に信頼できる病院にご紹介させて頂いています。
ただ、この子は・・・「うわ~治してあげれるだろうか・・・?」と正直不安に思いました(苦笑)。
来院時は顔から耳から肘から踵から体幹から・・・すべてに脱毛を伴う肥厚(分厚くなった)慢性病変がありました。痒みは中程度以上ですが、皮膚はそれ以上に悪いと思えました。元々は綺麗なチョコ色だっただろう毛も退色して白っぽく、質感もバサバサで不良です。
見た目は角化異常症です。脂漏症とも言ったりします。その出方で乾性(カサカサ)脂漏症と言ったり、油性(ベタベタ)脂漏症と言ったりします。乾性で脂漏ってどういう事?って今でも僕は思ってしまうのですが、病理学者の先生に言わせると根本的には同じ病態だそうです。皮膚の表面のバリアを担っている角化細胞の異常と皮膚を守っている脂の分泌異常が重なり合っていると思って下さい。
先天性に異常を持って生まれる子もまれにいますが、多くは何か基礎疾患(ホルモン病・感染・アレルギー等)があるか、何も基礎疾患が無い特発性脂漏症になります。
この子の場合も大切なのは「2年以上も何か治らないのは基礎疾患があるからでは無いのか?」と考える事です。ですので、甲状腺機能低下症の有無・感染症の有無を徹底して調べました。甲状腺は大丈夫でしたが、少量で二次的だとは思われましたが、マラセチア(カビ)の感染は有りましたので、それはしっかりと改善させる必要があります。ただこれは前の病院でもしっかりされておられました。更に検査で判り難い事があるので試験的にもカイセンダニの駆除をしました。基礎疾患としてのアレルギーの否定は難しいので、痒みに応じて最初は外用ステロイドも少し使いました(酷いなら脂漏症でも使います)。一番大切なのは中から外から、色んな手で角化調節をするシャンプーや保湿剤で徹底的に皮膚環境の改善に努める事です。週2回は洗い、毎日保湿、サプリも飲んで、特別な保湿溶液も使用して・・・。
・・・と、僕らが言うのは簡単ですが、何しろ30kg位の大型犬です!分かってはいてもできないので十分な治療ができないご家庭が多い中、この子のご家族は全力でして下さいました!
治療から約2か月で殆ど改善しました。痒みも止まって、綺麗な本来のチョコの毛がツヤツヤと輝いています。若返ったと言っても良いですね~。色々と検査やお薬やお手入れ大変だったと思いますが、大変満足して頂けて、僕も凄く嬉しかったです。ご家族のご協力無しにこの子は到底治せませんでした。