(アレルギーの症例:6)アトピー、脂漏症だけでも無く…複合で難治性の場合が多々あるシーズーさん
■犬:シーズー 初診時12歳1か月 性別メス
■病 歴:1~2歳からの皮膚が悪い、外耳炎も有る、緑内障や乾性角結膜炎もある。
ステロイドをしても新薬のアポキルをしても、抗生剤や抗真菌薬をしても、抗ヒスタミン薬をしても、高いサプリメントを飲んでも、良いと言われるシャンプーをしても、泥パックまでしても・・・全く治らないで悪化の一途をたどる。
約10年の長い経歴をお聞きし、本当に努力されたと思いますが、残念ながらかなり悪い状態です。見た目もですが、痒みもひどく日常生活の質は非常に低い状態です。
こちらが手で
腹部です。
全身が悪い状態ですが、特に手足に関しては象皮と言われる非常に分厚い皮膚に置き換わり、治るのか?と言う状態です。毛が無いだけでなく炎症もひどく、脂漏症によりベタベタになっています。
この子は症状と経過からはアトピーは有りそうです。更にシーズー独特の脂漏症にも成っています(二次的かも知れませんが)、更に検査の結果毛包虫が沢山検出されました(これも二次的かも)。この様に複合的な事は他の犬種でも有りますが、シーズーさんは特に多い気がします。
ただ、今までもかなり色々と手を尽くされているので、普通に考えると全くできる事は無さそうです。 ですが、詳しく問診した結果「色々と使ってはいるが薬の使用方法が適切で無い(・・・では失礼ですね、標準で無いと言うか・・・)「毛包虫が沢山いるのに、そのケアをちゃんとしていない」「シャンプーは色々としているが、合っているシャンプーを正しい方法で使っていない」と言う事が判明しました。ついでにサプリも「効くと証明されているものは使用していない」事も分かりました。
ですので、実は手詰まりに見えて沢山するべき事が有ります。
*ちゃんと薬を使用する(種類も量も期間も)
*毛包虫に関して最新の治療法を行う(特に慢性化した老犬では大切です)
*シャンプーを適切にして正しいやり方と回数で行う
*効果が証明されたサプリを使う
以上です。する事は実にシンプルですが、実際にして頂くにはご家族の熱意とご協力が必要です! ところで、こういう場合に食事も変えてみたい所ですが、実はその勝算は確率的には余り有りません。 この子はグルメなのも有って、食事に関しては変更できませんでした。
さて2か月頑張った結果はどうなったでしょう?
両手です。すっかり柔らかい皮膚になり発毛しました!
胸もお腹も凄く良くなりました!ベタベタもフケも臭いも激減です。
もちろん痒みも殆ど有りません。後はどれだけ手間を減らして維持できるか?に成ってくると思います。 外耳炎に関しては耳はイボを伴って著しく変形・肥厚してしまって、穴が塞がってしまっており、残念ながら外科的な事をしないと完治は難しいでしょう・・・。ですが、現状を改善させる為の方策は色々と有るので熱心な飼い主様と共に頑張っております。
この子の様にかなりの年月色々とやり尽くした様に見える慢性化して難しい子でも一緒に頑張って頂ければ、かなりの改善を目指せます!それにはご家族の熱心な努力が必要ですが、その根本にも僕への信頼が必要だと思いますので、丁寧な説明とより簡単なケアの追求を頑張らせて頂きます。