(その他の症例:12)知らないと分からない病気になってしまいます。合併症があるとなおさら!
■チャイニーズ・クレステッド・ドッグ 初診時:4歳4ヵ月 避妊メス
■病歴:1週前にフードを変えたら、3か月前からある白いプツプツが悪化した。ヒマがあると痒がる。
「フードが合わなかった→フードアレルギー?」なんて事を最初の病院で言われたそうですが・・・
主訴が痒いし、フードアレルギーなのかな・・・?と思って拝見すると
左側腹部:白いツブツブがすごい多発!(毛が無いのは元々そういう犬種だからです)
チャイニーズ・クレステッド・ドッグについて
右大腿部:炎症があるのは掻いているからでしょうか?掻いたからでしょうか?やっぱり食物関連?
白いツブツブも多いですし、一見すると凄く酷い病気に見えます。 この病気は完全に知っているか知らないか?です。でも普通の皮膚の本には載っていない事も多い位です。なにしろ犬種自体が非常に珍しいです。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグはアフリカン・サンド・ドッグが中国で交配され身分の高い人の愛玩犬として飼育され、不思議な頭の毛を満州人の辮髪(クレスト)に喩えて現在の犬種名で呼ばれるようになったワンちゃんです。タテガミのある頭部以外は無毛のヘアレスタイプと、全身が綿毛のパウダーパフタイプの変わった容姿をしています。
ヘアレスタイプでは特に皮膚のケアが大切で、保湿や保温をしてあげないと皮膚病になってしまいます。今回も単純にそういう問題でしょうか?それともやっぱり食物アレルギー?
先入観に囚われず、各種検査をしてみましたが表面の細菌感染の他は特別な異常は見つかりませんでした。ですが多発している白いブツブツは膿では無くて面皰でした。面皰は角化物が毛穴に詰まったもので、俗に僕たちが白ニキビとか黒ニキビとか呼ぶものです。
この子は「チャイニーズ・クレステッド・ドッグの面皰症」と思われました。面皰症候群はミニチュア・シュナウザーで有名で、身体に無数の面皰が多発する病気です。面皰が身体の中や外で破れると、異物反応で腫れたり傷ができて感染したりします。二次感染があって掻く事でさらに悪化します。この犬種では光線誘発性とも言われます。
残念ながら治る事はありません(ビタミンAや、その誘導体が治療に使われる事はありますが、著効はありません)。しかし角化調節シャンプーや各種保湿で適切に保護し、素早く炎症や痒みや感染を止める事で悪化をコントロールする事はできます。この子にも色々と注意をお伝えしスキンケア一式をお渡しし、現在の感染のコントロールに抗菌薬と、炎症のコントロールに外用ステロイドをお渡ししました。
・・・きっと夢が無い話だったかも知れません・・・。そのまま来られなくなってしまいました。僕の話し方も信用が無かったり、色々と悪かったりと思い反省しました。
しかし!その後4年経って来院して頂けました!嬉しいです。あれから寝られない位の酷い痒みと治らない再発性の感染に苦しんでおられる様子です。食事アレルギーのケアは継続されているご様子です。
右大腿部:面皰が以前よりも大きくなり、周囲に炎症が・・・
左大腿部:全身面皰がありますが、手足が酷いです
拡大すると大丈夫そうでも白い面皰の周りが炎症で赤くなっています
左カカト周囲は特に分泌をともない炎症が酷いです(これで改善中)
別に食物アレルギーがある可能性は否定できませんし、今のご飯は続けて頂きました。 ただ、炎症が面皰周囲に局所的に出て部分的に非対称性にあり、あまり関係は無いかも知れません。
スキンケア・抗菌薬・外用ステロイドは4年前の治療と同様に使いますが、今回の治療にはご同意を頂いた上で別の薬も段階的に使用しました。最近のアレルギー・アトピーの薬はステロイドとは違って、痒みのシステムの中心を担うと考えられるサイトカイン(生理活性蛋白質とも呼ばれ、細胞間相互作用に関与し周囲の細胞に影響を与える)IL-31をかなり安全にブロックしてくれます。痒くて掻く事で面皰が物理的に潰れたりして炎症が起きる事を止めれば再発のループからは抜け出やすくなります。
痕は残りますが分泌は消失、発赤が軽減し痒みは殆どありません! しかし、この子の病気に関しては残念ながら今現在は完治させる方法が無いのは同様です。
ですが、様々なスキンケア(服などの保護や刺激防護も)と素早い感染と炎症と痒みのコントロールで大切にしてくれるご家族の元で生活の質を上げて暮らしていく事は可能だと思っています。
■病歴:1週前にフードを変えたら、3か月前からある白いプツプツが悪化した。ヒマがあると痒がる。
「フードが合わなかった→フードアレルギー?」なんて事を最初の病院で言われたそうですが・・・
主訴が痒いし、フードアレルギーなのかな・・・?と思って拝見すると
左側腹部:白いツブツブがすごい多発!(毛が無いのは元々そういう犬種だからです)
チャイニーズ・クレステッド・ドッグについて
右大腿部:炎症があるのは掻いているからでしょうか?掻いたからでしょうか?やっぱり食物関連?
白いツブツブも多いですし、一見すると凄く酷い病気に見えます。 この病気は完全に知っているか知らないか?です。でも普通の皮膚の本には載っていない事も多い位です。なにしろ犬種自体が非常に珍しいです。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグはアフリカン・サンド・ドッグが中国で交配され身分の高い人の愛玩犬として飼育され、不思議な頭の毛を満州人の辮髪(クレスト)に喩えて現在の犬種名で呼ばれるようになったワンちゃんです。タテガミのある頭部以外は無毛のヘアレスタイプと、全身が綿毛のパウダーパフタイプの変わった容姿をしています。
ヘアレスタイプでは特に皮膚のケアが大切で、保湿や保温をしてあげないと皮膚病になってしまいます。今回も単純にそういう問題でしょうか?それともやっぱり食物アレルギー?
先入観に囚われず、各種検査をしてみましたが表面の細菌感染の他は特別な異常は見つかりませんでした。ですが多発している白いブツブツは膿では無くて面皰でした。面皰は角化物が毛穴に詰まったもので、俗に僕たちが白ニキビとか黒ニキビとか呼ぶものです。
この子は「チャイニーズ・クレステッド・ドッグの面皰症」と思われました。面皰症候群はミニチュア・シュナウザーで有名で、身体に無数の面皰が多発する病気です。面皰が身体の中や外で破れると、異物反応で腫れたり傷ができて感染したりします。二次感染があって掻く事でさらに悪化します。この犬種では光線誘発性とも言われます。
残念ながら治る事はありません(ビタミンAや、その誘導体が治療に使われる事はありますが、著効はありません)。しかし角化調節シャンプーや各種保湿で適切に保護し、素早く炎症や痒みや感染を止める事で悪化をコントロールする事はできます。この子にも色々と注意をお伝えしスキンケア一式をお渡しし、現在の感染のコントロールに抗菌薬と、炎症のコントロールに外用ステロイドをお渡ししました。
・・・きっと夢が無い話だったかも知れません・・・。そのまま来られなくなってしまいました。僕の話し方も信用が無かったり、色々と悪かったりと思い反省しました。
しかし!その後4年経って来院して頂けました!嬉しいです。あれから寝られない位の酷い痒みと治らない再発性の感染に苦しんでおられる様子です。食事アレルギーのケアは継続されているご様子です。
右大腿部:面皰が以前よりも大きくなり、周囲に炎症が・・・
左大腿部:全身面皰がありますが、手足が酷いです
拡大すると大丈夫そうでも白い面皰の周りが炎症で赤くなっています
左カカト周囲は特に分泌をともない炎症が酷いです(これで改善中)
別に食物アレルギーがある可能性は否定できませんし、今のご飯は続けて頂きました。 ただ、炎症が面皰周囲に局所的に出て部分的に非対称性にあり、あまり関係は無いかも知れません。
スキンケア・抗菌薬・外用ステロイドは4年前の治療と同様に使いますが、今回の治療にはご同意を頂いた上で別の薬も段階的に使用しました。最近のアレルギー・アトピーの薬はステロイドとは違って、痒みのシステムの中心を担うと考えられるサイトカイン(生理活性蛋白質とも呼ばれ、細胞間相互作用に関与し周囲の細胞に影響を与える)IL-31をかなり安全にブロックしてくれます。痒くて掻く事で面皰が物理的に潰れたりして炎症が起きる事を止めれば再発のループからは抜け出やすくなります。
痕は残りますが分泌は消失、発赤が軽減し痒みは殆どありません! しかし、この子の病気に関しては残念ながら今現在は完治させる方法が無いのは同様です。
ですが、様々なスキンケア(服などの保護や刺激防護も)と素早い感染と炎症と痒みのコントロールで大切にしてくれるご家族の元で生活の質を上げて暮らしていく事は可能だと思っています。