(感染症の症例:2)アレルギー?と思ったら疥癬
■ワンちゃん 初診時9歳10か月 アメリカンコッカースパニエル オス
■病歴:2か月前から痒がる ビクタスクリーム・コルタバンス・市販アレルギーシャンプー週2回使用、抗生剤やステロイド投与で痒みの変化無し、同居犬も少し痒い?
■初診時:ステロイドで治らないとの事で転院
全身に鱗屑・発赤・脱毛(特に酷いのは下側・かかと・ヒジ)
耳は脂漏(この犬種は多いです)
掻き取り検査にて疥癬(イヌセンコウヒゼンダニ)が沢山発見されました。
ノミダニ予防薬レボリューション2週毎×3回投与(しっかり!他の子も)
ステロイドは漸減(悪化した原因ですが、急に切ると良くありません)
☆殺虫剤の投与により速やかに症状が改善して完治しました。
来院時は悪化した状態で分かり易かったのですが、 「歳を取って急に症状が出ている・酷い部分がヒジやカカト・他の子も痒い?」 などはやはりアレルギーよりも疥癬を疑います。
犬アトピー性皮膚炎(CAD)の診断には総合的な視点が必要です。現在広く支持されているのは、Farvotと言う先生が統計的な事を基準にまとめた8つの項目(初発3歳以下・室内飼育・痒みがステロイドに反応・発疹よりも先に痒み・肢端に病変・耳介に病変・耳輪には症状が無い・腰仙部には症状が無い)の内5項目を満たすと約80%がCADだろうと言うものです。この症例の子はそれに当てはまらないのが分かると思います。
ただし、このダニは非常に分かり難い事も多いので、複数回検査したり、試験的な駆虫への反応をみたりする必要がある事も多いです。今回は先にステロイドを使用していたので悪化していた事で診断がすぐにできたと言えるでしょう。