(感染症の症例:3)細菌性の膿皮症?と思ったら毛包虫感染
■ワンちゃん 初診時8歳10か月
■病歴:8歳から心不全 1週前から湿疹 毛包虫がいる?投薬はしたが治らない
■初診時:心雑音がある 痩せている
腹側~背に膿皮小環(ブツブツとそれに続くリング状の病変)症状は軽い
*一見ありきたりな細菌感染に思えます。とりあえず抗生剤をしたくなりますが・・・。
テープ押捺・DMSO-KOH(毛や蛋白を溶かして調べる)検査で毛包虫多数
*毛包虫は誰にでもいます。ですが、病的に増える時には何か理由があります。 若い子なら免疫がまだ十分で無い場合で、この場合は局所的なら放置して治ります。
今回の様にお歳の場合は根本的な原因を考える事が大切です。
トウガラシみたいな細長い虫です
まずして頂いた通常の血液検査ではALP:337と肝臓系の検査の数値が一部高めだけ
*他に甲状腺と肝機能の検査をお勧めしましたが、ひとまず治療のみ
殺虫剤のドラメクチン開始(以後週1回を基本に)
毛穴を洗浄するシャンプー+保湿
心不全の薬を投与
■4回目来院時:ブツブツは治りました
詳しい検査をして頂きました。
甲状腺の検査FT4:0.3未満と測定限界以下 甲状腺機能低下症の疑い
肝機能の検査TBA食後92.6と正常限界の4倍程度 肝機能不全の疑い
その後TBAは236.8になり、身体のアミノ酸バランスの崩れも判明
その後ブツブツは月1回の殺虫剤で押さえれる程度にはなりましたが、毛包虫の数はすぐに多くなる状態が続きました。高齢犬で心不全・甲状腺機能低下症・肝機能不全と色々と治療するのが大変だと言う事もあるのか、来院が途絶えてしまいました…。
ちょっとした皮疹(ブツブツとか)が病気の兆候である事もあるので、特にお歳の場合で治り難い場合は一緒に相談して、詳しい検査をする場合もあると思って下さいね。