(アレルギーの症例:2)首のリング状の細菌性皮膚炎だが根本はNFHD(猫の非ノミ誘発性過敏性皮膚炎) ■ネコさん 雑種 初診時16歳11か月 避妊♀
病歴:1年前に首の肥満細胞腫の手術(後頭部?)(病理検査で切除縁OK/脈管侵襲無し)
2か月前から首下に湿疹?かゆみが強かった。ステロイド・抗生剤投与も投薬困難
2~4日毎にステロイドと抗生剤の注射(7回程度)その後改善し、総合的な皮膚炎のクリームと消毒をしていたが悪化し再度外用、首に巻物を装着したが更に悪化、治らない。 …との事で転院されました。

■初診時:首回り全周に渡ってライン状の脱毛と発赤、小丘疹(ブツブツ)の散在
     テープ押捺検査:白血球の1つ好中球(++)、球菌(++)
     DMSO-KOH検査:著変無し
     真菌培養:生えず
     局所毛刈りと消毒(バイオウィルと言う害の少ないもの)
     抗生物質入り軟膏の塗布・抗生剤と消炎剤を内服



■2回目来院時:内服ができなかった、との事で抗生物質の2週有効の注射にする
        状態の変化無し
        再テープ検査:同じだが球菌は減る

■3回目来院時:著しい改善



■4回目来院時:当初の病変は完治したが、左頭頂に小丘疹と左ほほに自傷?びらん(赤ムケ)
        非常に特徴的な部分的病変ではあるが、NFHDの基準を満たす為に何かのアレルギーの可能性がある。もうすでに首には何も巻いていない。
        蚊の徹底的防御・缶詰の中止を指示、念の為にノミダニ駆除薬も指示。



■5回目来院時:頭部びらんが残る 他ほぼ消失
局所的に使用していたコルタバンス(ステロイドのスプレー)を止めました
これは外用によってかえって難治性になる場合があるからです。



■6回目から~9回目
頭部びらんだけ残るのが続いて悪戦苦闘です。老猫で内服が一切飲めない子なので治療の選択肢も限られています。食事療法は頑張ってくれています。
顕微鏡や培養で真菌や寄生虫の有無を確認しながら、安全な消毒薬した後に生食で拭く様にする・別のステロイド入り軟膏を使う等を頑張って貰うのですが・・・治りません。



■10回目から~
やっぱり頭部は変化無し(悪化無し)で首にもごく僅かに再発の兆候があったので お手間ですが来院して頂きステロイド注射を3~4日毎行う事にしました。 ステロイドも1回の注射で長く効くものもありますが、使用は副作用が懸念されます。 全身への影響の検査は2週後予定としました
食事も猫では一番分解されている食事の低分子プロティンから始めましたが、まだ食べてない蛋白のダック&ライスに変えてみました。もし食事が原因なら新奇蛋白でもその内に反応する可能性があるので、まずは分解食をお勧めしています。ちなみにアレルギーを起こし易い食材・起こし難い食材と言うのは基本的にありません。

■15回目来院時
完全に治りました!一般的には少量のステロイドでは特に猫ではコントロールが難しい事も多いですが、あと少しだったので功を奏した面もあるでしょう。恐れていた副作用も注射を3~4日毎から7~10日毎に空けていって、何も発生しておりません。
今度もノミ予防・食事療法をしつつ、たまにステロイドを打つ必要はあるかも知れません。

よく頑張ってくれました!


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