(アレルギーの症例:20)複合的な原因のある場合の、いつもの治療の流れです。 ワンちゃん MIX犬 初診時:3歳 5か月

病 歴:
昔から割とよく吐く,低脂肪フードで落ち着く,2歳くらいからアトピーとして治療をしている。冬はマシになるそうですが、脱毛はしているそうです。 今はステロイドの内服は時々で、薬用シャンプーで週一回洗浄しています。ただ外用のステロイドは毎日で半年使っているので・・・多いですね(汗)。

痒みは十段階で6なので、睡眠にも影響が出ているので積極的に減らしたいレベルです。

初診時:
体格はちょっと痩せ気味で、すごく怖がりさんです。でも家では賢くシャンプーもできるそうです。


口元です。いかにもアトピー・アレルギーと言う感じですが、感染でも腫瘍でも同様の症状は出ます。



右の太もも前面です。アトピーでは柴犬さんがよく自傷する場所ですが、今回は明らかにそれだけでは無さそうです。



太もも前面から下腹部にかけて、びっしりと病変があります。これは痒そうだし可哀想です・・・。



更に胸部にもビッシリと病変が・・・(上が首側です)。ただ、これは脇によくあるアトピーの病変や脂漏症の病変では無さそうです。もちろん難治性だとの事ですし、病変的には多型紅斑などの自己免疫性疾患も有り得ますが、どうでしょう?

まずは基本的な検査です。白血球の1つ、好中球がブドウ球菌を貪食している(食べている)様子がバッチリ認められています。その他に特徴的な細胞は有りません。

膿皮症があるとして、治らないなら耐性菌が問題になっている可能性があります。病歴によっては即座に培養検査に入るのですが、高価な検査です。この子の場合は病歴からは「王道の膿皮症治療」をしたら治りそうに思えました。

「王道の膿皮症治療」とは「適切な種類の薬」「適切な量」「適切な期間」「適切な補助療法(外用)」です。その上で別の症例にもある様に「アトピーや内分泌疾患などの基礎疾患も治療する」事です。

順番的には根本的な病気を先に治してしまいたくなりますが、アトピーに関しては凄く痒くても先にこちらの治療に入ると感染がコントロールできなくなる場合が有ります。

今回はその疑いが有ります。まずは膿皮症の治療に専念して、目途が経ったらアトピーの治療をメインにします。痒みは感染のコントロールだけでもかなり下がるはずですが、相当痒いので積極的にした方が良さそうです。
痒いのは心情的な事に加えて、更には自傷を防ぐ観点からもコントロールをしたいポイントです。これに関しては良い薬も出てきたので最近は選択肢が広がりました! このお薬は再発の防止にも使える可能性があり報告が出始めています。

さて治療方法は色々と有るのですが、それが全部可能かと言うと「薬が飲めない」「薬が合わない」「シャンプーができない」「塗り薬ができない」「費用が無理」「手間や時間が難しい」・・・それぞれのご家庭やその子のハードルが存在します。 認定医としては柔軟に色んな方法をご提案する事が責務だと思っています。

また、完治は目指したい目標ですが、特にアトピー・食物アレルギーでは難しい場合があります。「とにかくまずは改善して頂く」事を絶対の目標にして、その先に対しても柔軟に対応して個々のゴールを一緒に考えて、その子の身体は第一なのですが、ご家族の費用的にも気分的にも負担の少ない治療方針を創りたいと常に思っています。

さて膿皮症の王道の治療から入って、1か月が過ぎ膿皮症がバッチリ治りました!次はアトピーの治療です。そして・・・



スッカリ改善しました!治る過程での色素沈着は仕方ありません。逆に色素沈着しないと老犬などでは腫瘍性じゃないか?との検討も必要になります。


胸部もスッキリ治りました!プードルやシーズーさんでは脇などに症状が残りがちです。この様な場合は適切な外用療法が大切ですね。

今回は前の病院で治らなかったのは感染症の治療よりもアトピーの治療を優先させてしまったからと思います。後は抗菌シャンプーの刺激が少し多かったかも知れません(これも変更しました)。その後、この子に対しては食事療法もしています。食事の変更に関しては病院で作った資料に基づくアドバイスをして、後はそれに基づいて家族の方が低脂肪で良いのを見つけてくれました。当院で購入で無いと各種サンプル等は出せませんが、結構市販で買われる方は多いですし、当院では特に止めません。でも市販食では明記している食材と違う材料の混入が多数報告されているので、その点は要注意です。

一度膿皮症が鎮静化した後は最近の研究で最初の状態(膿皮症)を減らす可能性があると言われるお薬を使用していました。今は痒みは全くありませんし調子が良いですが、次はこの状態の継続が目標ですね!症状がマシになる冬には治療の頻度や内容を最小限にしながら見守りたいと思います。

この子にはもちろん、定期的にきちんと治療をして下さる熱心なご家族の為にも頑張りたいと思います。

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