(免疫介在性・自己免疫疾患性の症例:5)早くから対処すると全然違う肉芽腫性脂腺炎の子
原因は不明なのですが、現在は投薬への反応からも自己免疫性疾患と考えられています。。
■わんちゃん スタンダードプードル 初診年齢4~5歳 避妊♀
■病歴:施設から保護して下さった子ですが、貰った時からベタベタの厚いフケを伴った脱毛があります。
 痒みは意外と少ない様子です。3か月前に毛母腫の切除をしています。

かなり遠くの方ですが、セカンドオピニオンを求めて来院されました。


鑑別では二次的なマラセチア(カビ)の感染は認められましたが、その他の著変はありませんでした。犬種や独特の症状から肉芽腫性脂腺炎を強く疑います。惜しむらくは3か月前の腫瘍切除時に皮膚の病理学的検査をしなかった事です。
もし疑っていればしてくれたハズなのですが・・・。
とりあえずは二次感染の治療とスキンケアの徹底、そして特異的な治療の紹介をしました。その後地元で検査と治療が進んでいる事を願っています。

・・・と、前回まで書かせて頂きましたが、その後当院できちんと生検をして頂き確定診断がつきました。


残念ながら殆どの脂腺が消失しており、残っている脂腺もリンパ球の慢性炎症がありました(赤矢印)。やはり肉芽腫性脂腺炎の進行した状態と言う診断でした。

肉芽腫性脂腺炎の発生は少ないですが、スタンダードプードルや秋田犬では犬種好発性から特に気をつけないとダメな病気です。主に1~5歳の若齢から中年の犬に認められます。二次的な角化障害の1つではありますが遺伝的な発生もあり原発性疾患として扱われています。脂腺を崩壊させるような免疫学的な脂腺炎が関係していると考えられ、これによって皮脂が減る事で毛包で角化障害が発生します。最終的には脂腺が完全に消失してしまいます。障害を受けた毛には独特な毛包円柱(皮膚の拡大写真の様な毛の根元にある様な太い脂の塊みたいなフケ)が認められます。全身に独特のフケも沢山認められます。二次的に膿皮症になると痒みもでてしまいます。症状が強く出ると可哀想な病気です。

進行してしまうとシャンプー療法を中心に対症療法をするしか無いのですが、初期の段階では効果的に進行を抑える薬も発見されてきています。費用がネックですが、もし早くに分かったら普通の肌を維持してあげる事もできるのでお早めに相談して下さると回復のチャンスとスピードは大きいでしょう。

飼い主様は熱心な方で、残存している脂腺も有る事から特異的な治療を開始しております。スキンケアでフケの状態等は良好ですが、どんどんと毛が生えてくれるか?はこれからの経過を見なくてはいけません。


頑張って外用・内服をしっかりして頂き、もう3か月過ぎてすっかり改善しました!

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