(感染症の症例:1)糸状菌感染症(カビですね)とNFHD(猫の非ノミ誘発性過敏性皮膚炎)? ■猫さん 初診時1歳1か月 避妊♀
■来院前年10月から粟粒性(ツブツブした感じ)皮膚炎?避妊術部から脱毛?
■皮膚基本チェック(皮膚の表面をテープや毛抜き・掻き取りで調べます)著変無し
■抗生・抗炎・抗真菌軟膏、皮膚に優しいシャンプーを使用。他の人や猫はOK
■ステロイドには反応するが、どんどん悪化していく 非常に気にして舐める
■某年5月 他院から転院し初来院


頂脱毛・口唇周囲発赤と脱毛・背に粟粒性皮膚炎と厚い痂疲(特に左腰)、 腹側頸部と内腹に粟粒と局面(平べったい病変) ・左大腿部後面に局面、 NFHD(猫の非ノミ誘発性過敏性皮膚炎)検査項目8項目中6項目合致。これにより「約80%の感度と特異性でNFHD」だな・・・となります。 でもそうすると「なんでステロイドでスッキリしないのだろう?」って事になります。 追加で検査を当院でもさせて頂きました。転院するとどうしても必要な事があります。
スタンプ染色検査:好酸球と好中球多数
DMSO-KOH(溶解液に毛や皮膚を溶かして観察):著変無し
何となく皮膚の赤さとベタつきが気になったので真菌培養検査の追加をしました。すると、 真菌培養:M Canisと言う糸状菌が陽性でした! 元々糸状菌だけが原因なのに、ステロイドも使用して感染してしまったのか・・・
やっぱりNFHDでステロイドを使用している内に感染してしまったのか・・・ 両方が考えられるでしょう。
培養したものは顕微鏡で更に確認をします。今回の様に名前まで分かる事もあります。


全身にカビが繁殖する根本原因を探る為と投薬の安全性の検査(特に肝臓)の為に、血液検査を全体にしましたが著変無しでした。
抗真菌剤のイトラコナゾールを副作用の出にくく経済的な量でまず投与


舐めてもっと酷く(涙)肝臓が大丈夫なのを確認してイトラコナゾール量を3倍程度にしました。

先は長そうです・・・。 舐めると治りませんので、エリザエベスカラーを工夫しバンダナ状クッションつけました。 こういう相談と連携プレーも大切です。ストレス軽減に猫フェイシャルフェロモンも併用 それでもなかなか治りません。舐めての細菌感染に対して内服が難しかったので、 2週有効の抗生剤の注射をしました。これにより確実に薬が投与できるので有り難いです。 舐めない様により厳格にカラー管理をしました。
かなり治ってきてくれました!でもまだ痒いです。
普通のシャンプーでは難しいので、用法外ですが外国では猫に認可が出ている犬の真菌用のシャンプーを併用しました。こういう裏ワザ的な事も相談しつつ行います。


根本的にはNFHDがあると思うので、痒いならステロイドも使いたいのですが・・・ 追加の真菌培養にて再度陽性でした。真菌症は再感染し易く、多頭飼育だとなおさらです。 痒みは2割減程度ですが、まだカラーと抗真菌薬・抗生物質で頑張ります。

相当綺麗になってくれました!見た目は完治です。 ですが痒みはまだあります。
真菌培養が完全に陰性になって更にステロイドを使うのかどうか?というところですね。
熱心なオーナー様でご飯も低アレルギーのものにして頂きました。その反応も確認します。
この様に原因(糸状菌と言うカビの感染)が分かっても
*治るのに時間が必要(慢性化し全身に広がってしまうと困ります)
*治るのにオーナー様の多大な協力が必要(投薬・カラー・シャンプー…頭が下がります)
*根本原因を探る必要があるかも知れない(今回ならNFHDなど)
など、早期に単純には治らない場合もあります。
ちなみに本来は糸状菌は放置していても時間はかかりますが、多くが自然治癒します。 ですが周囲に感染する場合もあるので非常に要注意ですね。



もうほぼ完ぺきですが、後肢の1か所だけ残っています。全身的には舐めずにカラーも完全におさらばです。真菌の培養が2回何も無かったらステロイドを考えます


療法食をしっかりと続けてくれています。もう後肢も完全になりました。ステロイドは使わずに完治になってくれました。オーナー様の努力あってこそですね。

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