(感染症の症例:15)難治性のアレルギー?それとも自己免疫性疾患?? ワンちゃん イングリッシュ・コッカー・スパニエル 初診時1歳 6か月

■病歴:
生後2か月でドライアイと言う事で治療されていたようです(ちょっと早過ぎて珍しいかな・・・)。目ヤニはそう言う事もあって多かったようです。

眼瞼周囲に炎症が起きて、3か月前からステロイド(内服・外用)や抗菌薬や何かのローションでの治療を頑張っていましたが、全然治らず悪化するので御来院されました。

■初診時:
全身状態は良く、ツヤツヤした美しい被毛です。眼瞼周囲と言うか、上まぶた中心にかなり酷い症状があります。でも良く見ると眼のフチは綺麗です。口周りや肛門周りの粘膜も大丈夫そうです。肉球も大丈夫ですね。
眼もツヤツヤで全然ドライアイには見えませんが、これは点眼で治ったのかな?いわゆる乾性角結膜炎には今は見えません。

かなり見た目は可哀想なのですが、ステロイドは中止しましたが、そんなに痒く無いそうです。

ものすごく大切にされていて、治療も記録もしっかりとされていて話がスムーズです。たまに可哀そうに前の先生から一切情報を与えて貰えない方もおられるのですが(これは獣医師が悪いのですが・・・)、そういうのも無くて経緯がよく分かりました。助かります!


右眼瞼の上がガサガサになっています。可哀そうに左眼瞼も全く同じです。


アップです。炎症もありますが、かなり分厚いフケの塊が特徴的です。

治療は記録がしっかりと有りますので、大いに参考になります。

ステロイド内服は結構な量で長くしています。でもアレルギーならともかく自己免疫性疾患では足りないです。でも・・・左右対称に同じ上まぶたに症状が有るのは自己免疫性疾患も鑑別疾患として気になりますが、この子の他の部分(他の粘膜皮膚境界部・鼻部上部・肉球など)の症状の無さからは一旦鑑別リストでは下の順位になりそうです。

抗菌薬は適切な物を適切な量でしています。ちょっと期間は短いみたいですが、1週で有効で無ければ無効と判断した経緯も分かります。それに典型的な膿皮症や表皮小環と違って見えます。

まずは感染症の鑑別が基本ですので、基本の検査をします。

あれ?

よくいるマラセチアと言う酵母菌はいないのですが、患部には多数の酵母菌が・・・もしかしてカンジダ??粘膜面が多いとか、もうちょっと湿った感じとかも典型的みたいですが、人間でも色んなタイプが在るようです。

カンジダはボーリングのピンの形のマラセチアよりも丸くて、大きく、たまに偽菌糸を発芽させています。培養同定は費用的にもする意味は乏しいと思うので真菌症の子に全員にはしていないので確定では無いですが、これは怪しい。 カンジダは基本的には常在する真菌です。本人の状態が悪くて(内分泌疾患や腫瘍など)日和見感染をして症状を起こす事も有りますが、この子は年齢や全身状態からは考え難いです。ドライアイの治療で免疫抑制剤を使ったりしますし、それに加えてステロイドを飲んだり塗ったりを「しっかり」する事で、発症⇒悪化したのかも知れません。

そうなるとすべき事は「ステロイドを中止」して「適切な内服(カビの種類で色々と相性や量のコツが有ります)」と「眼の周囲で使える適切な外用でのカビ退治」です!


さて3か月治らなかった皮膚ですが1か月経って無事に治ったのでしょうか・・・?




同じ右眼側です!もうスッカリ問題有りません。

もちろん両目ともにスッキリ治りました!!

元気食欲も大丈夫で、特に他の皮膚はピチピチ(?)で被毛もツヤツヤですし、痒みが無いので恐らくこのまま問題無く終わりでしょう!
「難治性?」と思った段階で早めに御相談頂き良かったです。経過が長くなると毛が生えなくなる場合もありますので・・・当然皮膚病が有っても毛が生えなくても可愛いのですが、まだまだ若いですから皮膚が健康なのは嬉しい事ですね。

皮膚科では診察後の治療もご家族の努力が必要ですが、治療前にもしっかりと経過と投薬内容を確認して教えて下さって二次病院としてしっかり早く判断ができ、助かりました。有難うございます。開示してくれた前医様にも感謝です。

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