■来院時:確かに酷い状態です。潰瘍も全身に多発し、地図状潰瘍と言って変な形で非常に大きいです。同居犬さんは非常に小さいのですが、こちらもプチ潰瘍が有りました。
これは一番大きいものですが、こんなのが全身に有ります
確かにこれは投薬歴から言って、生検をしてしまっても良いかも知れません。別の症例紹介に記載した様な自己免疫性疾患や外から検査し難い感染症を考えて提案されたのでしょう。 (ただ・・・むしろするならばステロイドの投薬前にすべきだったかな・・・)
当院からも生検するのは悪く無いのでご提案はしましたが、諸事情も有り、やっぱり余りしたくは無いご様子です。それよりも「沖縄に行って急に」「同居犬も少し症状がある」事からは、ややこしい免疫の病気と言うよりは単純な感染症の可能性が高いのかも?と考えました。 薬疹と同じですが、感染がきっかけになって自己免疫性疾患になる可能性も有りますが・・・。
逆に余り症状の無い同居犬さんから培養用にカサブタの下の膿を採取して培養に回しつつ、南国で感染する可能性のある原虫疾患等に幅広く対応し、かつ免疫調整をする抗生物質を先行投与しました。幸いにも培養の結果はその薬が有効だとの事でした!
ステロイドは急に切るのは危険なので漸減して様子をみます。舐めない様にカラーを付けたりと言った基本的な事もきちんと並行してする事が大切です。
■投薬後:投薬後わずか1週程度で顕著に治ってきました!傷も減り、本人の痒みも殆ど有りません。
ステロイドは完全に切りましたが、20日ちょいで殆ど完治です!生検や組織培養をして病名を詳しく知りたいと言う獣医師の欲求は有りますが、 それ以上に余り色々としないで思い通りに治ってくれる事は大きな喜びです!
ただし、ここからが重要です。この種の抗生剤は焦って切るとあっという間に再発するリスクがあります。例えばこの薬を「炭疽菌」に使用する場合は60日が最低投与期間です。 この辺は「え!症状が治っているから良いでしょ!」って言われてしまいかねない点ですが、幸いにもご家族様が薬剤師さんなので投薬継続の重要性をしっかり分かって頂けて、非常にありがたかったです。 2か月ちょいの投薬でスッカリ治ってくれました! また沖縄に行く時は気を付けて行く必要は有りますね。南国で遊べるなんて幸せですね。海に行く時には熱射病に気を付けましょう。また、全ての皮膚病は日光で悪化すると言っても良いので、日光をできるだけ避けましょうね!・・・沖縄うらやましいな~。