(感染症の症例:8)3年治らない膿皮症!ついに耐性菌になっていましたが・・・。 ワンちゃん・トイプードル・6歳7か月
■病歴:3年前から膿皮症(ニキビみたいなもの)を繰り返しています。ついに多剤耐性菌になって、薬も難しくなってしまいました・・・。内服・外用・フードと一通りは全部しておられるみたいです。なんと福井県から来院して頂きました!絶対に改善して頂かなくてはなりません・・・。

■来院時:いわゆる膿皮症が背中側中心に全体に存在します。初診だったら普通に標準治療を開始するレベルで、それ程には悪くは無いですが、色んな治療をして3年続くのは確かに変です。治り難い膿皮症の42%はアトピー、22%は食物有害反応、16%は若齢型膿皮症、11%は甲状腺機能低下症、6%はノミアレルギー、6%は副腎皮質機能亢進症とのデータが有ります。



毛が有って分かり難いですが、全身に膿皮とそれが広がった表皮小環(右)が沢山有り痒がっています。

背中に症状が出ているのは基本的にはアトピーっぽい症状では無いです。ですので今回はアトピーのお薬は一切使わないで治療をしています。食事アレルギーでは背中に皮膚炎が出易いと言う先生もいますが、これは除外試験をしなければ分かりません。寄生虫系は最近非常に有効な薬が有りますので検査はしますが試験的駆虫でほぼ除外可能です。ホルモン疾患に関してはこの子は見た目からは怪しく無いですが先入観を持たずに除外していくしか有りません。

・・・と、その前に!適切な膿皮症の治療がなされているか?も大切な点です。 この子は基本的には正しい治療をされてはいましたが、微妙に足りないポイントが幾つか有ったので、それを正して頂き、薬剤感受性検査に基づいた適切な抗菌薬をしっかり続けました。 そして順調に治っていきます。さて問題はまた再発するか?になりそうです。

同時に念の為に除外検査として血液検査をしたのですが、これがとんでもない高い数値が有ります!ALP「11587 ・・・獣医さんならこれは副腎皮質機能亢進症怪しい!って思う値です。もちろん副腎の検査は進める必要が有ります、とお伝えしました。 が!一番大事なのは本人がそれっぽい症状が有るのか?と言う点です。ところがこの子は膿皮症がそのせいかも?位で他は一番多い症状の多飲多尿すら有りません・・・。そして追加した検査は腹部エコーも血液検査(ACTH検査)もギリギリ境界線です。再発性膿皮症を防ぐ為だけに思い切ってホルモンコントロールをすべきか?非常に悩むところになります。

ただ今回は腹部超音波検査で明瞭な胆嚢疾患は有りましたので(これまた副腎からの可能性は有りますが)、それをコントロールしつつ、皮膚と言うよりもそちらの治療に重きを置いた食事を敢えて使用しました(なので除去食としては成立していません)。

これで最終的に膿皮が治るのか?肝数値も正常化するのか?胆嚢疾患で急性の症状が出るかも知れない事をお伝えして(こうなったら手術です)、内科中心の治療を開始しました。

膿皮が消失して1か月・・・3ヵ月・・・。本来なら悪化し易い夏も大丈夫です! もうすでに抗菌物質は適切な期間を使用して中止していますが、再発する様子は有りません。膿皮症が消失してついに6カ月以上、すでに外用療法も2週に1回位しかしませんが、全く再発しません!ですので今回改善してくれた症例さんとしてご紹介しました。
追伸:ついに1年再発が有りません!




治ってもパッと見は分かりませんね・・・。むしろ体型がスリムになっているのにご注目下さい!

体型も非常にスリムになり、フケも治まり、痒くもなく、膿皮症も再発しませんが、かなり低下したものの肝臓の数値はまだ高めです。副腎ホルモンの検査もやっぱりグレーゾーンです。この辺は副腎ホルモンのコントロールや胆嚢への外科的治療が必要かも知れません。

今は膿皮症の治療としては必要性が低いですが、副腎皮質機能亢進症として治療をする場合には副作用が要注意な薬を、特に最初は効き過ぎないように頻回の検査の元で飲ませる必要が有ります。それを遠隔地で行うのは厳しいので、その場合は地元でする方が良いでしょう。ひとまず今回の再発性難治性膿皮症に副腎疾患による直接的な影響は乏しいと考えています。

人間では肥満や高脂血症・肝疾患と皮膚病の関係が指摘されていますが、最近ではワンちゃんでも報告が増えています。適切な膿皮症の治療に加えて、体重・食生活(食物有害反応対策と言うより低脂肪)・肝数値の改善が必要だった難治性再発性膿皮症の子だと思います。

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